普段は私が買った洋服、鞄、靴などについて紹介していますがたまには本の紹介でも。
といってもファッションに関わる本の紹介です。
今回は「20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人」という本について語っていきます。
【感想】20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人
「20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人」
(成実弘至・著)
ファッションの歴史について学びたい人におすすめな本です。
当時の時代背景(戦争、貧困)、文化や芸術についても合わせて説明してくれているため世界史や美術の知識がない人でも安心して読むことができます。
なかなか取っ付きにくい服装史ですが最初の一冊目としては最適な本だと思います。
私もこの本がきっかけで本格的に服装史の勉強をはじめました。
「なぜ、その服を着るのか。」
そんな当たり前なことを改めて「深く、深く」考えさせてくれる本です。
皆さんは洋服を選ぶ時、どんなことを考えますか?
多くの人は色やシルエットなど、洋服の表面的な部分にしか目がいかないと思います。
実際、それで全く問題ないのです。
そもそも、それでお洒落な人もたくさんいます。
しかし本当に洋服が好きで、より深く洋服を楽しみたいのであれば服装の歴史についても学ぶべきだと私は考えます。
そのデザインはどのような時代、文化から生まれたのか。
または芸術やビジネスとどのような繋がりがあったのか。
そんな服装の歴史を学ぶことで、自分のファッションにより深みが生まれるはずです。
この本はそんなきっかけを与えてくれる本だと私は思います。
20世紀ファッションの可能性を広げたデザイナー。
「チャールズ・ワース」
「ポール・ポワレ」
「ガブリエル・シャネル」
「エルザ・スキャパレッリ」
「クレア・マッカーデル」
「クリスチャン・ディオール」
「マリー・クアント」
「ヴィヴィアン・ウエストウッド」
「川久保玲」
「マルタン・マルジェラ」
そんな20世紀ファッションの可能性を広げたデザイナー、10人について深く掘り下げた本になっています。
デザイナーに詳しい人なら「なぜこの10人?」と疑問に感じるかもしれません。
これに関しては著者本人がおっしゃっていますが、あくまで「デザインの創造性と社会変革への意思」という観点で判断した結果とのことです。
実際、読み進めているとこの10人にフォーカスしていることにとても納得がいきます。
時代の流れも含め、理解するのに最適な10人であると私も思います。
(私自身かなり半端物なので上から目線な感じが否めませんが…)
ファッションデザイナーについてあまり知らないという人にとっては目から鱗だと思いますよ。
各々に思想があって、それが時代の求めるものに合致する。
デザイナーは絵画や彫刻などの芸術家とは異なり時代の受け手あってのものというのが理解できると思います。
ちなみに深くフォーカスしているのは上の10人ですが当時活躍していたデザイナーとして他にも様々なデザイナーが紹介されます。
バレンシアガ、ラガーフェルド、サンローラン、ゴルチエ、またまたLVMH率いるアルノー。
この本を読んだ後に気になった他のデザイナーについて自分で調べてみる。
そんな感じでゆっくり勉強していくのもいいと思います。
コピーに対する考え方。
デザイナーの歴史を学ぶことでコピーがいかに昔からファッション業界の中で問題視されていたか理解することが出来ると思います。
そもそもオートクチュールからプレタポルテへと変化したその時に服装のデザインというのは複製可能な上で成り立っているものなのです。
一点制作が前提の工芸や美術とは違う。
そんなコピー問題に対するデザイナーの考え方の違いやコピー品との差別化の手段なども対照的で面白いところです。
私自身もコピーに関しては色々と思うところがあるので今後、改めて記事にしたいと思います。
まとめ:【感想】20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人
もしあなたが本当に洋服が好きで、より洋服について理解したいと考えるならば是非、服装の歴史について勉強して欲しいと思います。
当たり前ですがファッションというのは文化であり、文化というのは歴史の積み重ねです。
流行と聞くと浮ついた表面的なものに過ぎないように感じます。
しかしそれは過去の偉人たちが血も滲むような努力の末に生まれた努力の結晶なんです。
だからこそ、現在の一点のみではなく歴史として「線」で見て欲しい。
そうすることで、より洋服が楽しくなるのではないかと思います。
今回の記事は以上です。
「20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人」、おすすめですよ。